2008 Fiscal Year Annual Research Report
内耳有毛細胞におけるホスホリパーゼCδ3の機能解析
Project/Area Number |
20770108
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
山口 英樹 Tokyo University of Pharmacy and Life Science, 生命科学部, 講師 (10345035)
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Keywords | ホスホリパーゼC / イノシトールリン脂質 / ミオシン |
Research Abstract |
ホスホリパーゼCはイノシトールリン脂質代謝系においてセカンドメッセンジャー産生のトリガーとなる酵素である。δ型ホスホリパーゼ(PLCδ1、PLCδ3、PLCδ4)は進化上最も古くから存在するPLCであり、生命現象において基礎的かつ不可欠な機能を持つと考えられる。これまでに、PLCδ1、PLCδ4がそれぞれ表皮恒常性の維持、精子先体反応に必要であることが示されているが、PLCδ3の機能は全く明らかになっていない。そこで本研究では、PLCδ3の新規結合タンパク質として同定されたミオシンVIとの関連を手がかりに、PLCδ3の分子、細胞、個体レベルでの機能解明を目的として実験を行った。先ず、両タンパク質が多く存在するマウス網膜ライセートを用いて免疫沈降を行った結果、内在性の両タンパク質が結合していることが明らかになった。次に、PLCδ3の細胞内局在を検討した結果、細胞膜に多く存在し、一部ミオシンVIとの共局在が確認された。さらに、PLCδ3はエンドサイトーシス小胞に局在することが明らかになった。RNAiによるPLCδ3の発現制を行ったところ、細胞膜上のLDL受容体の減少や、クラスリン小胞によるエンドサイトーシスの低下などが観察された。以上の結果から、PLCδ3はミオシンVIと共に、細胞内小胞輸送やエンドサイトーシスに関与することが示唆された。次年度はさらに、PLCδ3遺伝子欠損マウスを用いて、ミオシンVIが関与する聴覚機能の個体レベルでの解析と内耳有毛細胞の形態について組織学的解析等を行っていく予定である。
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