2009 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアユビキチンリガーゼ、MITOLによるミトコンドリア品質管理
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20770109
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
與那城 亮 Tokyo University of Pharmacy and Life Science, 生命科学部, 助教 (60453809)
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Keywords | タンパク質分解 / 品質管理 / ミトコンドリア / ERAD / 神経変性疾患 / ユビキチン / ユビキチンリガーゼ |
Research Abstract |
多くの神経変性疾患では変性タンパク質の蓄積が観察され、それが病因と関与している事が報告されている。このような変性タンパク質は通常、ERADと呼ばれる小胞体関連分解により消去されることが明らかになっているが、長期間変性タンパク質に暴露されると、このERADが破綻し、変性タンパク質の蓄積が起こる。さらに病理学的所見からミトコンドリア上にも変性タンパク質が多く蓄積している事が報告されていることから私たちが同定したミトコンドリア外膜上に局在するミトコンドリアユビキチンリガーゼMITOL(Mitochondrial Ubiquitin Ligase)がミトコンドリア品質管理という新しい機構の存在を明らかにするため本実験を行なった。 私たちはミトコンドリアにも蓄積し、毒性をもつ変性タンパク質として、筋萎縮性側索硬化症の原因遺伝子のひとつであるSOD1(superoxide dismutase 1)の変異体を用いて実験を行なったところ、MITOL依存的に分解している事を明らかにした。さらに、in vitroユビキチン化アッセイを実施したところMITOLは変異SOD1を直接ユビキチン化していることを証明した。また、変異SOD1によるミトコンドリアへの毒性として、過剰な活性酸素種の産生が報告されており、私たちはMITOLによって変異SOD1の毒性が軽減される事を明らかにした。 以上の結果より、私たちはERADとは別の、ミトコンドリアが関与する品質管理機構の存在を明らかにした。今後、更なるミトコンドリア品質管理機構のメカニズムを明らかにする事により、ミトコンドリアが関与する神経変性疾患等の解明及び治療に結びつけることが期待できる。
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