2010 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝生化学的手法を用いたスフィンゴ糖脂質代謝・輸送関連因子の探索と解析
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20770114
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
山地 俊之 国立感染症研究所, 細胞化学部, 主任研究官 (50332309)
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Keywords | 糖鎖 / 脂質 / 細菌毒素 / 糖転移酵素 / トランスゴルジネットワーク |
Research Abstract |
本研究では遺伝子トラップ法及び発現クローニング法の両システムを志賀毒素耐性株単離のスクリーニングに用いることで、生体膜の機能的脂質として重要な役割を果たしているスフィンゴ糖脂質の代謝・細胞内輸送に関与する遺伝子群を単離、解析することを目的としている。平成21年度は発現クローニング法によって単離された志賀毒素耐性遺伝子のうち、複数回膜貫通領域を有する機能未知のタンパクGRINA-C(GRINAのC端側のみの欠失変異体)の作用機構に焦点を当てて研究を行ってきた。その結果、GRINA-Cの発現により志賀毒素受容体であるGb3の発現低下が見られること、またGb3合成酵素のmRNAは変化しないことが明らかとなった。 平成22年度は前年度に引き続き、GRINA-Cによる糖脂質生合成の制御機構に関して、さらに詳細な解析を行った。その結果、以下の事象が明らかとなった。(1)GRINA-Cのみならず、GRINAが属するTMBIM familyのうち、FAIM2などの全長タンパクを過剰発現させても、Gb3の低下が見られる(2)GRINA-C及びFAIM2の発現により、Gb3合成酵素のリソソーム酵素依存的な分解が促進される(3)GRINA-C及びFAIM2の発現により、トランスゴルジネットワークの細胞内分布が影響を受ける(4)GRINA-CはGb3合成酵素と免疫沈降法により共沈する。 これらの結果は、糖転移酵素においてこれまでほとんど知られていなかったposttranscriptionalな制御に関して、新たな制御機構の可能性を示唆するものである。
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