2008 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ粒子3次元追跡法を用いたモーター分子による細胞内輸送の制御機構の解明
Project/Area Number |
20770116
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
神原 丈敏 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特任研究員 (40451637)
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Keywords | モータータンパク質 / 細胞内輸送 |
Research Abstract |
本研究はモータータンパク質が細胞内の込み合った環境下で細胞骨格フィラメント上をどのように輸送するかという輸送機構を理解する事を目的としている。その手法として、キネシン、ダイニン、ミオシンなどの種々のモータータンパク質を結合させた蛍光粒子を作成し、それらがセミインタクト細胞(細胞膜に穴をあけることで細胞骨格を保ったまま細胞内の溶液が置換可能になった細胞)内で、どのような細胞骨格フィラメントの経路を通って、どのように移動するかを、3次元的に追跡することができるシステムを構築する。この新規のシステムにより、今まで困難であった時空間的な細胞内輸送を細胞骨格の形態や結合タンパク質などの制御因子と関連させて解析できるようになると期待される。 1、モータータンパク質の発現および、蛍光粒子への導入。遺伝子工学的手法を用いて、細胞に導入するためのモータータンパク質の組換え体を発現した。キネシンを大腸菌により、ミオシン5、ミオシン6、ミオシン10及びヒトダイニンを昆虫細胞系を用いて発現・精製し、活性のあるタンパク質を得た。特にダイニンにおいては、これまでは細胞性粘菌ダイニンと酵母ダイニンしか発現されていないため、ヒトダイニンを発現・精製できた事は今後のダイニン分子の研究において非常に重要な役割を果たす事が期待される。これらのタンパク質は蛍光粒子へと導入することができた。 2、セミインタクト細胞の作成及び、蛍光粒子の追跡。モータータンパク質が結合した蛍光粒子を乳ガン細胞由来のセミインタクト細胞に導入し、共焦点顕微鏡を用いて蛍光粒子の動きを観測する事に成功した。 今後は、より高時空間分解能で観測できるように最適条件を探索し、2焦点解析法により細胞内の3次元的な移動を観測する。
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