2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20770119
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柳澤 春明 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特任助教 (70466803)
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Keywords | 鞭毛・繊毛 / 細胞運動 / 生体分子 / 生物物理 |
Research Abstract |
真核生物鞭毛・繊毛の軸糸は,特徴的な屈曲運動を発生する.モーター蛋白質ダイニンが周辺微小管間に発生する直線的な滑り運動を屈曲運動へと変換する過程には,周辺微小管間に存在する架橋構造が必要であるが,その蛋白質としての実体はこれまで不明であった.最近私はこの架橋構造の構成蛋白質の一つ,p120を初めて同定した.さらに前年度の研究で,p120が大幅に減少する変異株を単離した.この変異株では保存された軸糸蛋白質PACRGが変異していた. 今年度の研究ではPACRGと間接的に相互作用する軸糸蛋白質p20を同定し,その変異体の単離に成功した.p20変異体の軸糸は,野生型に比べて対称に近く大きい屈曲を示した.この原因として架橋構造が不安定化している可能性が考えられる.PACRG,p20の軸糸中の詳細な局在はこれまで不明であった.今回タグ付加蛋白質を用いて,免疫電子顕微鏡法により軸糸周辺微小管上の局在を観察した.その結果,PACRG,p20どちらも周辺微小管A,B小管の継目部分に局在することがわかった.電子顕微鏡で観察される架橋構造の一端は,この継目付近にある.以上の結果からPACRG,p20が架橋構造を周辺微小管につなぎとめる足場として働いている可能性が示唆された. また前年度に鞭毛形成異常株の解析により同定した,別の架橋構造候補蛋白質p102,p105について,両者が軸糸中で直接相互作用し,複合体を形成していることを見いだした.変異株軸糸では周辺微小管間の結合が不完全になることから,p102,p105の複合体が,架橋構造に重要であると考えられる.
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Research Products
(2 results)