2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20770124
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
大坪 義孝 Kyushu Institute of Technology, 生命体工学研究科, 助教 (00380725)
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Keywords | 味蕾細胞 / 味覚器 / コネキシン / ヘミチャネル / 電位依存性 |
Research Abstract |
私は、味蕾細胞間相互作用におけるギャップ結合の役割を調べてきた。平成20年度は、味覚受容器である味蕾細胞には数種類のコネキシン(ギャップ結合構成タンパク質)遺伝子サブタイプが発現することを明らかにした。平成21年度は、味蕾内の単一味蕾細胞に色素を注入し、色素の拡散を調べる方法で、味蕾細胞に存在するギャップ結合について調べた。単一味蕾細胞に注入した色素が、隣接する味蕾細胞を染色することがほとんど生じなかったことから、味蕾細胞間におけるギャップ結合の存在は極めて少ないことが分かった。コネキシンは、細胞内容物を伝達物質として放出するヘミチャネルとしても機能する。味蕾細胞では、味刺激を受けた細胞がヘミチャネルからATPを放出する。このヘミチャネルの開口は電位依存性があり、ATPの放出には細胞の脱分極および活動電位が重要となる。味蕾細胞におけるヘミチャネルおよび活動電位発生に必要な電位依存性ナトリウムチャネルの電気生理学的特性を調べた。甘味・旨味・苦味受容体を発現する細胞(II型細胞)のヘミチャネルは、約-20mVから開口すること、II型細胞は、酸味受容体を発現する細胞(III型細胞)より、低い電位で電位依存性ナトリウムチャネルが活性化することを明らかにした。この結果は、II型細胞は、効率よく活動電位を発生させ、ヘミチャネルを開口し、情報伝達することを示唆する。細胞間相互作用装置の一つであるコネキシンは、味蕾細胞においては、ギャップ結合を介した情報伝達として機能するよりも、ヘミチャネルの開口を利用した情報伝達として機能し、細胞間相互作用を可能としている。
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