2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20770126
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
岡 俊彦 Shizuoka University, 理学部, 助教 (60344389)
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Keywords | 膜蛋白質 / 巨大結晶作成 / 脂質 |
Research Abstract |
膜蛋白質バクテリオロドプシンは、高度好塩菌の細胞膜上に存在し光を吸収することにより膜の内外に水素イオンの濃度勾配を作り出す。この光駆動水素イオンポンプ機構においてバクテリオロドプシン内部の各残基の水素原子が大きな役割を果たす。このため水素原子を観測することが可能となれば、バクテリオロドプシンの反応機構の理解が一段と進むことは間違いない。そこで我々は水素原子を観測するために,高分解能X線結晶構造解析または中性子結晶構造解析が可能なバクテリオロドプシンの高品質巨大結晶の作成を行うことにした。 前年度までに良質の結晶が得られるようにはなったが、巨大結晶の作成には至っていない。この目的を達成するためには、結晶生成の場となる脂質の状態を知る必要があると考え、その状態の変化をX線回折実験で調べた。脂質に混合したバクテリオロドプシンに対し結晶化剤を加えることにより、数日から数ヶ月後にバクテリオロドプシンの結晶が生成される。この過程で脂質も変化することが明らかになった。まず結晶化剤を添加することにより脂質の相構造がラメラ相から立方相に変化した。そして格子定数の変化も明確に観測された。これにより結晶化剤により脂質構造・状態も影響を受け変化していくことが明らかとなった。このことは結晶化を考えていく上で脂質の状態も常に考慮に入れておく必要があることを示した。 また結晶の表面観察により結晶性の良さを判断する目的で、原子問力顕微鏡を用いた測定も開始したが、年度内に充分な観測結果を出すに至らなかった。
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