2009 Fiscal Year Annual Research Report
回転分子モーターF1-ATPaseのヌクレオチドアフィニティ制御の解明
Project/Area Number |
20770127
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
足立 健吾 Gakushuin University, 理学部, 研究員 (60370128)
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Keywords | 1分子計測 / 1分子操作 / 分子モーター / エネルギー変換 / アフィニティ / F1-ATPase / ヌクレオチド |
Research Abstract |
回転分子モーターF_1-ATPaseの持つそれぞれ3つの活性部位で起きる化学反応(ATP結合、加水分解、燐酸解離、ADP解離)がどの力学反応(回転ステップ)を駆動しているのかが明らかになっている今日、次のステージとして、回転角度に依存したヌクレオチド(ATPやADP)に対するアフィニティを調べることでこの分子機械の回転する、または合成する仕掛けの根幹に迫りたい。磁気ピンセットによる1分子回転操作と蛍光性ヌクレオチドの結合解離との同時観察により、ヌクレオチドがどの角度で結合しどの角度で解離するのかを測定した。磁場の強度、回転方向、回転速度といった様々な回転条件に加え、蛍光性ATPまたはADP、非標識ATPまたはADP存在下、燐酸存在下など様々な溶液条件で測定した結果、加水分解・合成方向どちらの回転においてもATPとADPで結合する角度に違いがあることを見いだした。すなわちATPとADPの結合が回転角度でそれぞれ制御されていることを示している。また、ADP結合の角度は燐酸存在下でATP結合の角度あたりに変化することも分かった。合成過程で起こる結合の様子を実際に見ていると考えている。さらに、結合・解離の統計からATPとADPそれぞれの角度依存的な解離定数(アフィニティ)を見積もることも出来ており、F_1-ATPaseの3つの活性部位におけるヌクレオチドの化学反応が回転角度によって制御されるという交代結合(binding change)メカニズムを直接証明するデータであると考えている。本研究課題で得られた成果は、多くのATP駆動型分子機械の作動機構解明の嚆矢・模範となると思われる。また、タンパク質全般の基質結合・解離の原理を理解することにも繋がると期待している。
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Research Products
(5 results)