2009 Fiscal Year Annual Research Report
視床における同期的神経発火を制御する神経配線基盤の探索
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20770128
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
井上 剛 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (40370134)
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Keywords | 視床 / 神経回路 / シナプス配線 / 同期発火 / ダイナミッククランプ |
Research Abstract |
本研究課題では、スライスパッチクランプ法およびダイナミッククランプ法を用いて、視床におけるリレー細胞が有する同期的神経発火の発生メカニズムに関して研究した。マウス体性感覚領域における視床リレー細胞は、内側毛帯から興奮性入力、そして網様体細胞からの抑制性入力を受けており、大脳皮質へと出力する。さらに視床リレー脂肪は網様体細胞へと興奮性出力を持ち、結果フィードバック結合を有している。しかしながら、「複数」の視床リレー細胞で構成される神経回路がどのような「シナプス配線」を有しているかは十分に分かっておらず、さらにこれらの視床リレー細胞が発生する「同期発火」の四シナプス配線基盤に関しても分かっていない。 マウス視床スライス標本に対し、パッチクランプ記録法を用いてシナプス配線基盤を調べた結果、近接した視床リレー細胞群は単一の網様体細胞から発散性の抑制入力を高確率で受けていることを見出した。そこで次に、この発散性抑制結合の機能を調べた結果、この発散性抑制結合が存在すると視床リレー細胞は同期発火を示すが、時間差を持った同期発火であることが明らかとなった。さらにダイナミッククランプ法を用いることにより、視床リレー細胞から網様体細胞へ興奮性シナプス結合を存在させると、時間差の無い同期発火が発生することも見出した。最後に、この同期発火が存在する状態で内側毛帯からのシナプス入力を存在させると、その同期発火が弱められることも明らかとなった。すなわち、シナプス配線の存在パターンに依存して、同期発火の強さと質が制御されていることが明らかとなった。
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