2009 Fiscal Year Annual Research Report
質量分析法と重水素交換を用いたリボソームの反応機序とダイナミクスの研究
Project/Area Number |
20770129
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
山本 竜也 The Institute of Physical and Chemical Research, 城生体金属科学研究室, 基礎科学特別研究員 (70437573)
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Keywords | 質量分析法 / 水素 / 重水素交換 / リボソーム / ダイナミクス / 翻訳 / 蛋白質-酸相互作用 |
Research Abstract |
リボソームの機能発現とダイナミクスの関係を調べており、そのために質量分析法を用いた反応中間体の水素/重水素(H/D)交換実験を行っている。本年度はリボソームの反応中間体実験には欠かせないMg^<2+>イオン濃度変化とリボソームダイナミクスの研究について雑誌報告することができた(研究発表を参照)。核酸を主要構成成分とするリボソームはMg^<2+>イオンによって偏った負の電荷を中和し、その構造を安定に維持しているが、多量に存在しすぎるとかえって活性を落とすことが知られている。そのメカニズムは長らく議論されてきたが、今回発表した論文においてMg^<2+>イオン濃度に依存したリボソームのダイナミクス(柔軟性)の変化が、その一因となっていることを示した。またMg^<2+>イオン濃度が薄くなるにつれてtRNA結合部位を中心にリボソームはダイナミクスを増すことが分かり、インデュースドフィットメカニズムの存在が示唆された。加えてM/D交換の結果を複合体形成のアセンブリーマップと比較することで、アセンブリー後期に結合する蛋白質が低Mg^<2+>イオン濃度でもがっちりと固い構造を維持することで、ダイナミックに動くようになったリボソームの構造を安定に保っていることも分かった。それらの実験と並行して、測定法について微小反応場を目的としたマイクロリアクターを用いてラピッドクエンチングを行うことで、より機能発現に近い時間スケールでの動きを捉えるデバイスの設計を試みている。今年度で17msのクエンチングに成功し、これまでは見えなかった交換プロファイルが得られ、さらなる高速クエンチング設計が可能であることも分かった。
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