2009 Fiscal Year Annual Research Report
2状態構造平衡モデルに基づいたM-フィコリンの異物認識機構の解明
Project/Area Number |
20770132
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Research Institution | Mitsubishi Kagaku Institute of Life Sciences |
Principal Investigator |
谷生 道一 Mitsubishi Kagaku Institute of Life Sciences, 研究部門・蛋白質立体構造研究グループ, 特別研究員 (10416662)
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Keywords | 自然免疫 / 異物認識 / 蛋白質 / 生物物理 / 構造平衡 / フィコリン / NMR / Brevibacillus choshinensis |
Research Abstract |
フィコリンは、N末端側のコラーゲン様(COL)ドメインとC末端側のフィブリノーゲン様(FBG)ドメインで構成される病原体認識タンパク質である。我々は、ヒトM-フィコリンのFBGドメイン(FD1)の構造機能研究から、M-フィコリン異物認識領域に病原体認識に関わる2状態構造平衡が存在すると予想し、これまでにpH依存性2状態平衡の存在の証明、およびそれに関与するヒスチジン残基の同定に成功した。本年度は、(1)2状態平衡に伴う立体構造およびダイナミクス変化についての知見を得るためのFD1のNMR解析、(2)急性期タンパク質C反応性タンパク質(CRP)との相互作用と病原体認識との関与について解析を試みた。(1)[α-^<15>N]ヒスチジン標識FD1のNMR解析から、基質結合に関与する3残基のヒスチジンのうち、信号帰属が成された2残基の^<15>N化学シフト値には、pHに依存した明確な変化が無く、2状態構造平衡に関する情報を得ることは出来なかった。現在、さらなる条件検討を行っている。(2)CRPとフィコリンは、相互作用することにより、それぞれ個々では認識しにくい病原体を認識・排除するために相補的に働くことが明らかとなってきている。しかし、その相互作用は非常に弱く、詳細な分子機構については明らかではない。我々は、CRPとM-フィコリンの相互作用解析を、非常に弱い相互作用の検出に適しているゾーンアフィニティークロマトグラフィーを用いて解析した。その結果、CRPは、M-フィコリンのFBGドメインとCOLドメインの境界付近に弱く結合し、その結合はCOLドメインがFBGドメインの付け根付近で大きく折れ曲がることでより強くなることが示唆された。
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