2009 Fiscal Year Annual Research Report
複製因子PCNAが制御する、タンパク質ユビキチン化反応の分子機構の解析
Project/Area Number |
20770140
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
塩見 泰史 University of Hyogo, 大学院・生命理学研究科, 助教 (80380567)
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Keywords | 細胞周期 / DNA複製 / ユビキチン化 / タンパク質分解 / PCNA |
Research Abstract |
細胞周期S期への進行と紫外線に応答して機能する新規のヒトユビキチンリガーゼ、Cul4-DDB1^<Cdt2>複合体の活性はDNA複製や修復に必須な因子、PCNAに依存している。このことから、PCNA結合タンパク質をユビキチン化の標的とすることが示されている。一方、現在までにヒトのPCNA結合タンパク質は50を超えるものが明らかになっているが、それらの中でユビキチン化され分解系に進むことが示されたのは複製のライセンス化因子Cdt1と、私たちの解析から明らかにしたCDKインヒビターp21のみである。そこで、新たなユビキチン化標的因子の検索を目的に、細胞内からCul4-DDB1^<Cdt2>複合体と結合する因子を精製、質量分析により解析した。その結果、新規のユビキチン化標的因子の候補を見いだした。現在は、この因子のユビキチン化の解析をin vitro反応系を用いて進めている。 また同時に、PCNA結合タンパク質の中でもCul4-DDB1^<Cdt2>複合体に認識されユビキチン化と分解を受けるものと、そうでないものの違いを明らかにするため、ユビキチン化されるCdt1のPCNA結合モチーフ(PIP box)をユビキチン化されないタンパク質のPIP boxと入れ替えたキメラタンパク質や、Cdt1、p21のPIP box周辺に変異を導入したタンパク質を用いて、ユビキチン化に必要な要素を解析した。その結果、Cul4-DDB1^<Cdt2>複合体によるユビキチン化の標的となるにはPIP box内にあるTD配列と、PIP box直下にある2つ並んだ正電荷アミノ酸が必要であることが明らかとなった。この結果に基づき、基質がPCNAと複合体となった時、TD配列と2つの正電荷アミノ酸が並んで基質となるシグナル(デグロン)をCul4-DDB1^<Cdt2>複合体側に提示するとの立体構造モデルを示した(論文投稿中)。
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