2008 Fiscal Year Annual Research Report
染色体一本化細胞を利用したキネトコア蛋白質の機能同定
Project/Area Number |
20770143
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
齋藤 成昭 Kurume University, 分子生命科学研究所, 准教授 (30352123)
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Keywords | 染色体 / キネトコア / スピンドル / 分裂酵母 / 有糸分裂 / 減数分裂 |
Research Abstract |
染色体上に形成されるキネトコア(動原体)は、有糸分裂期における染色体分配の要となる分子複合体です。本研究は、人為的に染色体数を1つに減じた分裂酵母細胞を作成し、次いでその酵母を利用して、各キネトコア構成蛋白質の機能を明らかにしようとするものです。本年度は、研究計画に従い、まず染色体一本化細胞の作製を行いました。セントロメア破壊によって誘導される染色体融合を繰り返し、全ゲノムが一染色体にまとまった細胞株の樹立に成功しました。細胞学的観察、およびパルスフィールド電気泳動により、確かに染色体数が1であることを確認しました。染色体一本化細胞は、若干の細胞周期遅延を示すもののおおむね正常に生育します。また、一本化細胞同士の交配は正常に進行し、形成された胞子のほぼすべてが生育しましたが、一本化細胞と通常の細胞の交配で生じた胞子の生存率は極めて低下していました。これは、染色体構成の変化が、進化の原動力と考えられる「遺伝的隔離」を引き起こし得ることを示しています。 次いで染色体一本化細胞中でmis6遺伝子を破壊したところ、致死となりました。致死表現型を観察したところ、3本の染色体を持つ通常細胞の場合とは異なり、M期中期停止細胞が多く観察されました。これは、染色体と紡錘体の結合、あるいは染色体の牽引といった機能をMis6タンパク質が果たしている可能性を示唆しています。現在、より詳細な解析を行うために、条件致死的なmis6変異の導入を試みています。
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