2008 Fiscal Year Annual Research Report
受精時に精子から受精卵に伝達される転写産物の同定と機能解析
Project/Area Number |
20770145
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
川野 光興 The Institute of Physical and Chemical Research, LSA要素技術開発ユニット, 研究員 (00455338)
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Keywords | 遺伝情報物質 / 機能性RNA / 生殖細胞 / 精子 / 受精 / エピジェネティックス / 進化 / 遺伝子発現制御 |
Research Abstract |
遺伝情報を次世代に伝える物質はDNAだけなのか?最近の研究成果から、研究代表者はRNAにもそのような役割があるのではないかという考えに至った。遺伝物質となりえるRNAは生殖細胞である精子中に存在するはずである。しかし、精子ではRNAの転写がおこなわれていないため、今まで精子を用いた大規模なcDNA配列解析はなされていない。よって本研究では、精子中に存在する転写産物の網羅的同定を塩基配初決定により行う。これらのデータは、RNAが遺伝物質であるという仮説の上に立った候補RNAを探索する基礎データになりうる。また、新規の機能性RNA分子を探索する。さらに、受精時に精子から受精卵に伝達される転写産物を同定し、その転写産物の機能を解析することを本研究の目的とする。今年度は、新たに塩基配列決定によって見つかった、マウス精子中に含まれる生物学的に興味深いと思われる小分子RNAの特徴付けを行った。精巣で発現がみられず、精巣上体と精子サンプルにおいて特異的に存在している新規マイクロRNAを発現解析によって複数同定することができた。それらの種間の保存性やターゲット予測を行い、生殖細胞中で生理機能を保持している可能性を示唆する結果を得た。また、マイクロアレイ解析により、精子に多く存在するマイクロRNAを特定した。受精時に精子から受精卵に伝達される転写産物の同定を行うために、これらRNAを含む幾つかの精子RNAを対象として、精子、未受精卵、受精卵のサンプルを用い、現在TaqMan qRT-PCR法を用いて解析を行っている。
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