2009 Fiscal Year Annual Research Report
アクチン細胞骨格とメンブレントラフィックを統合する細胞極性シグナルの実体の解明
Project/Area Number |
20770150
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中野 賢太郎 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 講師 (50302815)
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Keywords | アクチン / ミオシン / Rab / Rho / 分裂酵母 / 細胞極性 / シグナル伝達 / エキソサイトーシス |
Research Abstract |
細胞極性は、細胞の形づくりや細胞運動などを介して細胞機能や機能分化に不可欠な情報であり、酵母のような単細胞真核生物の生存からヒトにおける高次生命システムの構築や維持に至るまで重要である。極性情報の下では、細胞骨格の分布や配向が制御され、方向性を伴った細胞内の物質輸送(メンブレントラフィック)が促される。この過程において低分子量GTPaseを介在したシグナル伝達経路が、特に、Rho GTPaseは細胞骨格に、Rab GTPaseはメンブレントラフィックの制御において、極めて重要な役割を果たすことが分かっている。しかし、これらのシグナルがどのように統合されて、そして細胞が極性を示すのかについては不明な点が多い。そこで、本申請課題においては、分裂酵母の極性成長の現象を実験系に用いて、次項の3点について重点的に解析し、細胞内の極性情報の機能発現プロセスについて、タンパク質の分子構造と機能、動態を中心に理解することを目指した。平成21年度は、Rhoのシグナル伝達経路の下流で機能するアクチン繊維束化活性をもつIQGAPの分裂酵母ホモログであるRng2の機能解析を主に行った。その結果、Rng2には新たにアクチン重合活性があることを見いだすことに成功した。一方、IQGAPはエキソサイトーシスにExocyst複合体の細胞内局在性を制御して関与することが報告されているが、Rng2が同様の活性をもつような実験結果は得られなかった。別の実験から、分裂酵母のExocyst複合体の制御には、RhoとPob1の機能が重要なことを示した。
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