2008 Fiscal Year Annual Research Report
破骨細胞形成におけるRANK/TRAF6を介した新規シグナル伝達機構の解明
Project/Area Number |
20770153
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
合田 仁 The University of Tokyo, 医科学研究所, 助教 (90361617)
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Keywords | 発生・分化 / シグナル伝達 / 骨代謝 |
Research Abstract |
骨吸収を担う破骨細胞の分化・活性化は、受容体RANK及びそれに結合するアダプター分子TRAF6によって制御される。申請者は、TRAF6シグナルの増強を担い、破骨細胞分化誘導に必須であるRANK細胞質領域HCRを発見した。しかし、HCRを介したシグナル伝達機構は不明である。そこで、HCR結合因子を同定し、その機能を明らかにすることにより、HCRを介したシグナル伝達機構の解明を目指した。HCRを欠損したRANK及び野生型RANKを用いて、野生型RANKには結合するがHCR欠損RANKには結合しない因子のスクリーニングを行うことで、HCR結合因子の同定を試みた。その結果、アダプター分子Gab2がHCRを介してRANKに結合することを見出した。HCRとGab2の結合はRANKL刺激依存的であり、かつGab2はTRAF6とも結合すること、HCRと直接ではないがHCR依存的にPLC-gamma2がRANKと会合すること、これらの複合体形成はRANKL刺激24時間以降も継続することを見出した。さらに、このHCR複合体の形成を阻害すると、NF-κBの長期活性化及びPLC-gamma2を介したCa++シグナルが消失し、マスター転写因子NFATc1の活性化が抑制されることを明らかにした。これらの結果から、RANKはHCRを介してGab2、PLC-gamma2、TRAF6を含むシグナル伝達複合体を形成し、その形成を維持させることでTRAF6シグナルを増強し、破骨細胞形成を誘導することが示唆された。このことは、今まで謎であった破骨細胞形成におけるTRAF6シグナルの増強機構の解明に新たな知見を与えるだけでなく、破骨細胞形成を人為的に制御できる新規の分子標的の発見に繋がると考えられる。
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