2009 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア分裂に機能するGTPase、Drp1の細胞と個体における生理機能
Project/Area Number |
20770155
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
石原 直忠 Tokyo Medical and Dental University, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (10325516)
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Keywords | ミトコンドリア / 膜融合 / 膜分裂 / 膜ダイナミクス / オルガネラ |
Research Abstract |
動的ななオルガネラであるミトコンドリアは、細胞内で活発な融合と分裂を繰り返しつつその構造を動的に形態を維持している。ミトコンドリア融合因子を欠損したマウス・哺乳動物細胞及び酵母では、細胞内酸素呼吸及びミトコンドリアDNAが失活することが明らかになっている。ミトコンドリア分裂は培養細胞においてアポトーシスを促進することが明らかになっているが、酵母や培養細胞のミトコンドリア分裂阻害条件では、その生存や増殖などに目立った表現型が観察されていなかった。そこで我々はミトコンドリアの分裂に機能する因子である、ダイナミン様タンパク質(Drp1)を欠損したマウス及び欠損細胞を構築し、哺乳動物におけるミトコンドリア分裂の生理的意義の解明を目指して研究を行った。 Drp1を欠損したマウス胎児線維芽細胞は細胞増殖や細胞分裂は正常であった。またミトコンドリア酸素呼吸活性、ミトコンドリアDNAの量も正常型とほとんど差が見られなかった。次に、様々なDrp1を欠損したマウス系列を構築・解析したところ、Drp1を全身で欠損するマウスは胎生致死となることがわかった。さらに神経特異的にDrp1を欠損したマウスを構築したところ、生直後に致死となり、また神経細胞死が誘導された。Drp1を欠損した神経細胞を初代培養系により解析を行ったところ、ミトコンドリアの分裂が抑制されると神経突起内へのミトコンドリアの進入が起こらず、その結果シナプス形成不全となっていることがわかった。さらにDrp1を欠損した神経細胞ではカルジウム依存的な神経細胞死が誘導されていた。これらの結果から、ミトコンドリアの分裂は、哺乳動物の初期発生及び神経機能維持に必須であることが明らかになった。
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