2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20770157
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森田 強 Osaka University, 医学系研究科, 助教 (80403195)
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Keywords | 癌 / 細胞骨格 / 細胞運動 / 転移 |
Research Abstract |
本研究課題の目的は、がん悪性化過程における転写調節因子MRTFの関与を検討することである。昨年度までの研究により、v-Rasやc-Srcにより形質転換された細胞においてMRTFの核への局在化が著しく抑制されていること、それに伴いカルデスモンやトロポミオシンなどのアクチン結合タンパク質の発現が著減していること、また活性化型MRTFを導入することによりアクチン結合タンパク質の発現回復、細胞の浸潤能や足場非依存的な増殖能などがん細胞特有の形質が抑制されることなどを見出していた。本年度は、さらにヌードマウスを用いた形質転換細胞移植実験により活性化型MRTFがin vivoにおいても形質転換細胞の腫瘍形成能や転移能を著しく抑制できることを明らかにした。また、MRTFファミリータンパク質の中でも平滑筋および心筋特異的に発現しているmyocardinが、がん抑制因子であるp21の発現を制御していることも明らかにした。ヒトp21遺伝子のプロモーター領域には転写因子であるSRFの結合配列が存在し、myocardinはSRFと協調的にp21の発現を誘導した。さらに、子宮平滑筋肉種では正常子宮平滑筋に比べてmyocardinの発現が著減しており、それによってp21の発現も抑制されていた。また、子宮平滑筋肉種細胞にmyocardinを過剰発現させると、p21の発現誘導を介して細胞増殖が抑制されるとともに平滑筋としての分化形質を一部取り戻すことが明らかとなった。以上のように、MRTFやmyocardinは細胞骨格タンパク質や細胞周期制御タンパク質の発現を調節することでがん悪性化過程において重要な役割を果たしていることが示された。
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Research Products
(5 results)