2009 Fiscal Year Annual Research Report
染色体分配制御因子セパラーゼとセキュリンによる哺乳類の細胞周期制御機構の解析
Project/Area Number |
20770162
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Research Institution | Japanese Foundation For Cancer Research |
Principal Investigator |
熊田 和貴 Japanese Foundation For Cancer Research, 癌研究所細胞生物部, 研究員 (10370149)
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Keywords | 染色体分配 / 細胞周期 / ノックアウトマウス / 発がん |
Research Abstract |
本研究は、姉妹染色分体間の対合を切断するseparaseと、その制御因子であるsecurin、この両タンパク質の、哺乳類細胞中での機能をより詳細に理解することを目標にしている。本年度は主に、昨年度に確立させた培養細胞における実験系において、同調培養と外来性タンパク質の発現、コンディショナルなノックアウトを組み合わせて用いた解析を行った。また、個体レベルにおいても、表皮や膵β細胞特異的にseparaseもしくはsecurinをノックアウトしたマウスの解析を行った。 すでに昨年度、いくつかの変異securinタンパク質を外来性に過剰発現させると細胞の増殖が抑制されることを見出していたが、本年度はさらに変異タンパク質の種類を増やしてより詳細な解析を進めたことで、細胞の染色体分配に関与する、哺乳類securinの新たな機能領域を同定した。この領域が細胞内で実際にどのような機構を介して染色体分配を制御しているのかについてはさらなる解析と検討が必要であるが、変異securinたんぱく質がseparaseに結合可能なことは確認できており、separaseの活性制御を介しているものと考えている。また、こうした領域の変異が、securinの過剰発現によるNIH3T3細胞の形質転換能に大きな影響を与えることも明らかにし、securinの過剰発現時における染色体分配異常とNIH3T3細胞の形質転換との間に相関があることを見出した。 本研究の結果により、separaseとsecurinによる哺乳類細胞における染色体分配制御機構の一端が垣間見えた。また、将来、染色体分配機構と発がんとの関連を考える上での手がかりを得ることができたと考える。
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