2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20770173
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
室山 優子 Chiba University, 大学院・医学研究院, 特任講師 (20422248)
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Keywords | 哺乳類 / 大脳皮質 / 神経前駆細胞 / 発生・分化 / Digital Differential Display / 電気穿孔法 |
Research Abstract |
本研究では神経前駆細胞の時期特異的な性質の分子基盤を明らかにすることを目的として、大脳形成初期の神経前駆細胞で発現する遺伝子を同定し、その機能解析を行っている。これまでに研究代表者はDigital Differential Display法による遺伝子発現比較と発現パターンの解析により、初期の神経前駆細胞で発現し、機能が未知である遺伝子を複数明らかにした。電気穿孔法を用いた生体脳での遺伝子強制発現実験と機能阻害実験による機能スクリーニングにより、一つの遺伝子YNES1(現在はNeproと改名)が神経前駆細胞の正常な分化に重要な役割を担っていることを示した。今年度はその作用機構を明らかにするため、Neproを強制発現させた脳において神経細胞の分化を制御するプロニューラル遺伝子の発現を解析し、その発現が減少していることを見出した。神経前駆細胞の維持においてはNotchシグナル経路が中心的な役割を果たしている。そこで、活性化型Notchを強制発現させた脳あるいはNotchシグナルの阻害剤であるγ-secretase inhibitorで処理した脳におけるNeproの発現を検討したところ、Neproの発現が変化することを見出した。以上のことから、Neproは発生過程の大脳神経前駆細胞においてNotchシグナルと関係し、神経前駆細胞の分化に抑制的に働いていることが示唆された。また、初期の神経前駆細胞で発現する他の遺伝子の機能解析を行うため、強制発現系のベクターを作製した。
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