2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20770173
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
室山 優子 Chiba University, 大学院・医学研究院, 特任講師 (20422248)
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Keywords | 神経前駆細胞 / 大脳皮質 / 神経細胞 / Notchシグナル / 電気穿孔法 |
Research Abstract |
哺乳類大脳皮質を構成する神経細胞は発生過程において神経前駆細胞から生み出される。大脳形成の早い時期の神経前駆細胞は複数の種類の神経細胞を生み出す特徴的な分化能力を持つが、早い時期に特異的な性質をもたらす分子機構は不明である。研究代表者はこれまでに大脳形成初期の神経前駆細胞で発現する遺伝子を多数同定し、そのうちの一つであるNeproが神経前駆細胞の維持に関わることを明らかにした。さらにNeproの発現は神経幹細胞の維持に中心的な役割を果たすNotchによって誘導されることを示した。今年度はNeproとNotchシグナルとの関係を詳細に解析した。γセクレターゼ阻害剤でNotchシグナルを阻害するとNeproの発現が減少した。さらに電気穿孔法を用いてNotchシグナル経路で働く転写因子であるRBPjに特異的なsiRNAを脳で発現させたところNeproの発現が減少した。一方、Notchの下流因子であるHes1やHes5を強制発現させてもNeproの発現は変化せず、NeproやNeproに特異的なsiRNAを強制発現させてもHes1やHes5の発現は変化しなかった。さらに、活性化型Notchと共にNeproに特異的なsiRNAを発現させるとその作用が抑えられた。以上の結果から、Notchの下流においてNeproは初期の大脳皮質の神経前駆細胞の維持に重要な役割を果たすことが示唆された。Neproが神経前駆細胞の分化能力に関与しているかどうかについて検討するため、大脳形成の遅い時期にNeproを強制発現させた場合やCre-loxPシステムを用いてNeproを一過的に過剰発現させたときの神経前駆細胞の分化能の変化について現在解析を行っている。
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