2009 Fiscal Year Annual Research Report
イメージング解析を用いたマウス着床前胚発生における細胞分化メカニズムの解明
Project/Area Number |
20770176
|
Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
小松 紘司 National Institute for Basic Biology, 初期発生研究部門, 特別協力研究員 (40456893)
|
Keywords | 胚盤胞 / 内部細胞塊 / 栄養外胚葉 / Nanog |
Research Abstract |
21年度は20年度行った条件検討の結果を元にSrc型チロシンキナーゼLynの膜移行シグナルと蛍光タンパク質Venusの融合タンパク質遺伝子をRosa26遺伝子座に組み込んだ遺伝子改変マウス胚発生(細胞膜を可視化できるマウス)のタイムラプス撮影を行い、解析を行った。その結果、16細胞期の間に、胚の外側に位置する細胞が胚の内へと動する事が分かった。この移動は16細胞期特異的な事象である可能性を示すデータもあり、更に解析を進める事により細胞の挙動と分化の関係性を明らかにできる。 また20年度に引き続き、内部細胞塊の分化マーカーである転写因子Nanogの発現解析を行った。NanogはOct4、Cdx2などの主要な分化マーカーとは異なり、個体によって様々な発現パターンを示すが、胚盤胞形成過程における発現変化パターン、制御に関しては不明である。そこで、21年度はNanogのプロモーターに蛍光タンパク質GFPを結合した遺伝子改変マウスを用いて、Nanogの発現変化をリアルタイムに観察し、解析を行った。その結果、Nanogは8細胞期に発現を開始し、16細胞期の間は細胞の位置などの影響を受けずにランダムな発現変化パターンを示した。その後、16細胞後期~32細胞期以降にかけて、胚の内側に位置する細胞において外側の細胞よりも発現の上昇度が高い事が分かった。このことから16細胞期~32細胞期にかけてNanogの発現は細胞の位置依存的な制御を受ける事が考えられる。NanogはCdx2による発現抑制を受ける事が報告されているが、32細胞期まではCdx2が発現していてもNanogの発現は上昇する事から、胚盤胞形成過程で、その制御機構が変化する事が考えられる。Nanogの発現制御の変化と細胞の位置変化の結果は、16~32細胞期の間に細胞分化に関して重要な変化が起こっている事を示す重要なデータと言える。
|
Research Products
(1 results)