2008 Fiscal Year Annual Research Report
ホヤ胚誘導における空間的、時間的応答能制御機構の解析
Project/Area Number |
20770178
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
熊野 岳 Osaka University, 大学院・理学研究科, 助教 (80372605)
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Keywords | 初期発生 / ホヤ / 誘導 / 応答能 |
Research Abstract |
〈誘導における空間的応答能制御〉 間充織誘導において、誘導シグナルであるFGFと内在性応答能因子であるMacho-1がどのように相互作用して組織特異性を生み出すのかという問題に対して、FGFシグナルにより活性化される転写因子EtsとMacho-1が、間充織特異的遺伝子の転写調節領域上にそれぞれ結合し転写を制御することで、両者の情報が統合される、という仮説を立てている。本年度は、以前単離した間充織特異的遺伝子であるtwist-like転写因子遺伝子の転写調節領域約1.1kbが、内在のtwist-like遺伝子の発現を再現するのに十分であることを示した。さらにdeletion解析により、約100b長の領域が間充織特異的な発現に必要であることを示し、その領域内にゲルシフトアッセイ法によりEtsとmacho-1タンパク質がそれぞれ結合する配列が存在することを確かめた。 胚の前方に脊索、後方に間充織を作りだすような胚全体の空間的地図が、どのように描かれているのかを理解するために、前方と後方のFGFシグナルに対する応答能の違いを作り出している因子、PEMの解析を行った。その結果、PEMは胚後方において、b-cateninの核移行を制御することで、脊索誘導における応答能制御因子であうFoxA/ZicNの転写を抑制していることを明らかにした。 〈誘導における時間的応答能制御〉 脊索誘導における応答能喪失のメカニズムとして、FoxBと呼ばれる転写因子が、FGFシグナルによる脊索特異的遺伝子brachyuryの発現誘導を抑えていることを明らかにした。FoxBは脊索誘導におけるデフォルト運命である神経索細胞で発現する因子であること、FGFは脳誘導のために神経索細胞でも発現していることから、FoxBによる応答能喪失は、神経索細胞系列での異所的な脊索誘導を抑制していると考えられる。
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Research Products
(1 results)