2009 Fiscal Year Annual Research Report
脊椎動物の頭部形成に関わる新規Dvl結合因子DBPの機能解析
Project/Area Number |
20770179
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
佐藤 朗 Hiroshima University, 大学院・医歯薬総合研究科, 助教 (70464302)
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Keywords | シグナル伝達 / 発生・分化 / Wnt / Dvl / 脳・神経 |
Research Abstract |
Wntシグナル伝達経路は、線虫、ショウジョウバエのような無脊椎動物から、マウス・ヒトまで種間を超えて高度に保存されたシグナル伝達経路である。細胞外分泌因子Wntはその受容体Fz(Frizzled)に結合し、Fzを通して細胞内の3つの経路(βカテニン経路、平面内細胞極性(PCP)経路、Ca経路)へと伝えられて行く。そのうちβカテニン経路とPCP経路では、Fzからのシグナルが細胞内因子Dishevelled (Dvl)へと伝えられる。そして、Dvlを境に、細胞の増殖と分化を制御するβカテニン経路と、細胞骨格の制御を介して細胞運動と細胞極性の決定へと導くPCP経路に分岐する。しかし、Dvlがこれら2つのシグナル伝達経路を如何にして制御して、その下流へと伝えているのかに関しては依然として不明な点が多い。そこで本研究では、DvlをbaitとしたYeast two hybrid screeningを行い、脊椎動物では全くの新規Dvl結合因子Dishevelled Binding Protein (DBP)を単離した。本年度の成果は以下の通りである。 【DBP特異的siRNAを用いたノックダウンによるWnt/βカテニン経路に対する効果】 DBPを特異的に且つ高効率にノックダウン出来るsiRNAをヒトにおいて3種類、マウスにおいて2種類設計した。HeLaS3(ヒト子宮頸癌由来細胞)とNIH3T3(マウス繊維芽細胞)においては、Wnt3a刺激後のWnt/βカテニン経路の直接の標的遺伝子Axin2の発現が半定量的RT-PCRによって容易に検出できる。この系を用いて、DBPノックダウン条件下でのWnt3a刺激依存性のAxin2の発現上昇を解析した。その結果、DBPをノックダウンしてもAxin2の発現に影響は見られなかった。ツメガエル胚でのDBPの発現領域は頭部神経領域に集中しているため、今後は神経組織由来の細胞株を用いて同様の実験を行う予定である。
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Research Products
(2 results)