2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20770180
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
村上 安則 Ehime University, 大学院・理工学研究科, 准教授 (50342861)
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Keywords | 進化 / 脳・神経 / 発生・分化 / 遺伝子 / 解剖学 |
Research Abstract |
平成20年度には、ヤツメウナギ胚を用いて、神経形成に関わる分子機構に関する研究を行った。終脳形成に関わる遺伝子のうち、Emx、Pax6、Coup-TFの発現パターンを解析し、そのパターンを硬骨魚類や爬虫類と比較して進化発生学的な解析を進めた。その結果、調べた全ての遺伝子の発現パターンは脊椎動物の系統間で高度に保存されていた。このことはつまり、終脳外套部の基本的な発生プランはヤツメウナギにも見られることを示しており、終脳背側の領域は脊椎動物の共通祖先の段階で確立されたとする我々の仮説を支持するものとなった。この結果は本研究の目的である無顎類の終脳発生プランの同定に合致している。さらに免疫組織科学を用いて末梢神経系の形態をヤツメウナギやその他の脊椎動物で解析した。その結果、ヤツメウナギの末梢神経系の形成機構に関して、三叉神経と側線神経の進化過程に関する新たな知見を得た。これらの結果は、Zoological Science誌ならびにDevelopment Growth & Differentiation誌に掲載された。また、本研究の計画に記載した内容のうち、当該年度には軟骨魚類ならびに爬虫類の胚の確保にも成功し、脳形成遺伝子の単離を行った。その結果、共同研究者より分与いただいたものも含め、サメのShhとCoup-TF、カメのFGF8、EphA4、Sema3A、LhX3など、神経形成に関わる多くの遺伝子を単裏することができた。得られた遺伝子について平成21年度に解析を行い、終脳の起源と進化についてさらに研究を進める予定である。
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Research Products
(6 results)