2008 Fiscal Year Annual Research Report
マウス胎仔造血器より直接得た未分化細胞の解析と血液発生に対する役割
Project/Area Number |
20770181
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
信久 幾夫 Kumamoto University, 発生医学研究センター, 講師 (40332879)
|
Keywords | 造血 / AGM / 血液発生 |
Research Abstract |
本研究課題では、マウス胎生中期のAGM領域より見出したCD45^<low>c-Kit^+細胞について、高い造血能を持つ細胞集団の選択、in vivoでの長期造血再建能の検討、発生の経過に伴う分布の変化を検討し、さらに胎仔肝臓などの他の造血器における役割を明らかすることを目的とする。以下に本年度の結果を報告する。 1. AGM領域より得られる血球細胞中にSP細胞が含まれ、SP細胞かつCD45^<low>c-Kit^+細胞の造血活性が、SP細胞でないCD45^<low>c-Kit^+細胞と比較して高いことを明らかにした。また、CD45^<low>c-Kit^+細胞以外の細胞集団にもSP細胞を認めたが、この集団には造血能を認めなかった。 2. AGM領域由来のCD45^<low>c-Kit^+細胞について、その他のマーカータンパク質と共染色を行った。その結果、細胞外基質であるα4-integrin、血管内皮細胞のマーカーであるVascular endothelial cadherin、未分化細胞のマーカーであるCD34の発現が、他の集団に比して高いことを認めた。 3. 発生に伴うAGM領域由来CD45^<low>c-Kit^+細胞の存在について検討を行った。AGM領域由来CD45^<low>c-Kit^+細胞は、胎生9.5日でわずかな数を認め、胎生10.5日および胎生11.5日で細胞数が増加し、胎生12.5日では細胞数が減少し、胎生13.5日以降では認めなかった。また、in vitroにおける造血活性は、いずれの胎齢においてもCD45^<low>c-Kit^+細胞が最も高かった。このことよりCD45^<low>c-Kit^+細胞の出現時期が、AGM領域の造血能が高い時期と一致していることが明らかとなった。 4. 胎生期における他の造血組織でのCD45^<low>c-Kit^+細胞についての検討を行った。卵黄嚢、肝臓ではCD45^<low>c-Kit^+細胞集団を認め、in vitroの造血活性がCD45およびc-Kitの発現強度に基づいて分画した他の細胞集団よりも高いことを見出した。
|
Research Products
(4 results)