2009 Fiscal Year Annual Research Report
画像解析プログラムおよび数理モデルを用いた、「細胞極性の方向」の制御機構の解明
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20770187
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
荒田 幸信 The Institute of Physical and Chemical Research, 細胞運命研究チーム, 研究員 (40360482)
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Keywords | 細胞極性 / PARタンパク質 / 画像解析プログラム / 分子生物学 / 細胞生物学 / 発生生物学 |
Research Abstract |
我々の体を構成する細胞は極性を持っている。この細胞極性は、たとえば体の内側―外側といった体軸の方向にあわせて適切に方向付けされている。極性の方向が乱れると機能的な体の構造を維持することが出来ず、がんなどの様々な疾患の原因になると考えられる。本研究の目的は、多細胞生物における、細胞極性の形成機構およびその極性の方向制御の分子機構を明らかにすることである。これまでに、C. elegansと言われる線虫の初期胚から細胞を取り出し、試験管内で培養する技術を用い、P2細胞と呼ばれる細胞の特徴を調べてきた。P2細胞は、単独で培養しても極性を形成するが、P2細胞の様々な位置にシグナル細胞を結合せると、細胞極性は常にシグナル細胞との接着部位に方向付けされることを見つけた。本年度は、極性形成の分子メカニズムを明らかにした。まず、シグナル細胞とP2細胞のそれぞれをmes-1変異体またはsrc-1変異体から単離した細胞と入れ替えたキメラ胚を作成することにより、mes-1変異体はシグナル細胞とP2細胞の両方で機能し、src-1変異体はP2細胞でのみ機能していることを明らかにした。また、P2細胞に二つのシグナル細胞を結合させ、P2細胞の極性の方向付けが、自律的極性形成機構の改変によって成り立っているのか、それとも、全く別の機構であるのか、を調べた。P2細胞はシグナル細胞を二つ結合させても極性を形成し、その極性はどちらか一方のシグナル細胞の方向に向いていた。このことから、P2細胞における極性の方向制御は、自律的極性形成機構を改変することによって成立していることが示唆された。今後は、PAR-2タンパク質に注目し、画像解析プログラムを用いて細胞内移動速度を正確に計測し、極性の形成と方向制御がどのような化学反応により成立しているかを明らかにする。
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Research Products
(4 results)