2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20780001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 純一 The University of Tokyo, 大学院農学生命科学研究科, 助教 (30345186)
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Keywords | 植物 / 遺伝学 / 発生・分化 / 葉序 |
Research Abstract |
本年度はイネの葉序が異常となる変異体decussate(dec)の原因遺伝子の機能解析を通して、葉序の制御機構についての理解を深めることを目的として解析を行ない、以下の成果を得た。 まずこれまで候補として考えられていた遺伝子が真にdec変異体の原因遺伝子であるかを確認するため、候補遺伝子を含むゲノム領域をdec変異体に導入した。その結果、表現型が完全に回復した。このことからこの遺伝子がDEC遺伝子であることが証明された。またdec変異体には2つの対立遺伝子が存在することが明らかとなったが、一つは終止コドンを生ずる1塩基置換、もう一つはDEC遺伝子座を完全に欠失する変異であった。両方とも表現型に大きな差は見られないことから、2つのdec変異体は機能を完全に失っていると考えられた。DEC遺伝子はこれまでに報告のない全く新しいタンパクをコードしており、保存性の高い領域は存在するものの、タンパクの生化学的機能を推察することはできなかった。次にDEC遺伝子がどのような器官特異性を示すかを明らかにするためにRT-PCRとin situ hybridizationによる発現解析を行なった。DEC遺伝子は調査したすべての器官で発現が観察され、またin situ hybridizationにおいても組織特異的な発現は認められなかった。次に班0遺伝子を構成的発現プロモーターであるアクチン遺伝子の下流に繋いだコンストラクションを作成し、野生型に導入したところ明らかな表現型は観察されなかった。これらのことから、DEC遺伝子による葉序の決定機構は、特定の組織の発生イベントに関わっているのではなく、葉序の決定に必要な発生イベントを上流から制御する因子であることが予想された。またDEC遺伝子の下流にGFPを繋いだコンストラクトをタマネギの表皮細胞に導入し、DEC融合タンパクの細胞内局在を観察したところ、細胞質に強い蛍光が認められ、DECタンパクは主に細胞質で機能することが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)