2008 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム情報とバイオリソースを利用したイネ生殖隔離遺伝子の同定とその起源と分布
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20780004
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
一谷 勝之 Kagoshima University, 農学部, 准教授 (10305162)
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Keywords | クロロシス / 雑種弱勢 / 生殖隔離 |
Research Abstract |
本課題では, 雑種クロロシス, F_2雑種弱勢という2種類のイネ生殖隔離現象に関する遺伝子の同定を行い, 生殖隔離を引き起こす機構を明らかにするとともに, それらが座乗する染色体領域がイネの品種文化に与えた効果について考察する. 1. 雑種クロロシスhca1, hca2 : インド型品種で例外的にhca2遺伝子をもつ品種IR24とhca1遺伝子をもつ滋賀県の在来品種J147との交雑F_4世代を育成し, DNAマーカーを用いて両遺伝子の連鎖分析を行った. 1F_4系統で第12染色体短腕のDNAマーカーとクロロシスとの連鎖が認められた, クロロシス個体はすべてJ147ホモ型であったため, hca1遺伝子が第12染色体短腕に座乗することが明らかになった. 第11染色体短腕と第12染色体短腕が重複している報告が多数あること, hca1と連鎖するDNAマーカーが重複領域に存在することから, hca2遺伝子は第11染色体短腕に座乗していると推定した. そこで, F_4系統の中から第12染色体のDNAマーカーがJ147型で固定し, クロロシス個体が分離する系統を供試し分析したところ, 第11染色体短腕のDNAマーカーとクロロシスとの連鎖が認められ, クロロシス個体はすべてIR24ホモ型であったため, hca2遺伝子は第11染色体短腕に座乗することが明らかになった. 2. F_2雑種弱勢 : インド型品種IR36と熱帯日本型品種Jamaicaとの雑種後代で見いだされた雑種弱勢現象に関わる劣性遺伝子の数が2個か3個か不明であった. 染色体上の座乗位置が既知の2原因遺伝子のうちの一方が劣性遺伝子ホモ, もう一方がヘテロで, 正常 : 弱勢が15:1に近い分離を示した系統の後代を分析したところ, 15:1という分離比は2個の劣性遺伝子によるものではなく, 一方の遺伝子の分離の歪みによることを支持する結果が得られた.
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