2010 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム情報とバイオリソースを利用したイネ生殖隔離遺伝子の同定とその起源と分布
Project/Area Number |
20780004
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
一谷 勝之 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (10305162)
|
Keywords | クロロシス / 雑種弱勢 / 生殖隔離 |
Research Abstract |
本課題では,雑種クロロシス,F_2雑種弱勢という2種類のイネ生殖隔離現象に関する遺伝子の同定を行い,生殖隔離を引き起こす機構を明らかにするとともに,それらが座乗する染色体領域がイネの品種分化に与えた効果について考察する. (1)雑種クロロシス,F_2雑種弱勢遺伝子の分布:世界イネコレクション,日本在来イネコアコレクションにおける雑種クロロシス遺伝子hca2-1,JamaicaとIR36の交雑F_2で見出される雑種弱勢を引き起こす遺伝子の分布を調査した.hca2-1遺伝子は日本型品種で頻度が高く,また周辺のDNAマーカーとの連鎖不平衡が見出された.F2雑種弱勢を引き起こす2遺伝子の頻度はどちらも低かった. (2)雑種クロロシスにおける第12染色体短腕末端消失:第12染色体短腕末端のDNAマーカーを設計し,PCRを行ったところ,IR24由来のhca2-1遺伝子をホモ接合でもち,hca1-1遺伝子が分離する集団ではJ-147型のPCR産物が得られなかった.また,J-147由来のhca1-1遺伝子をホモ接合でもち,第11染色体短腕末端に座乗するhca2-1遺伝子が分離する集団を供試して第12染色体短腕末端のDNAマーカーを調査したところ,クロロシス個体(hca2-1遺伝子をホモ接合でもつ)ではPCR産物が得られなかった.hca2-1遺伝子をホモ接合でもつと,hca1-1遺伝子が座乗する第12染色体短腕末端のDNAが消失すると考えられた. (3)第1染色体に座乗するF_2雑種弱勢遺伝子の高密度連鎖解析:2009年に引き続き,種IR36とJamaicaとの雑種後代で見いだされた雑種弱勢現象に関わる2個の劣性遺伝子のうち,染色体1に座乗する遺伝子の高密度連鎖解析を行った.その結果,遺伝子の座乗候補領域は約30kbに絞り込まれ,機能が明らかなタンパク質をコードする候補遺伝子が4つ座乗していた.
|