2009 Fiscal Year Annual Research Report
リンドウに導入した35Sプロモーターのメチル化に関与する因子の探索
Project/Area Number |
20780005
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
三柴 啓一郎 Osaka Prefecture University, 生命環境科学研究科, 助教 (70390888)
|
Keywords | 育種学 / 植物分子育種 / 花卉 / 発現抑制 / DNAメチル化 |
Research Abstract |
研究代表者はこれまでに、CaMV-35Sプロモーターがシングルコピーで導入されたリンドウ形質転換体において、35Sプロモーター配列特異的なDNAメチル化を伴う外来遺伝子の発現抑制現象を見出してきた。本研究では35Sプロモーター配列特異的にメチル化を引き起こす因子を同定し、発現抑制の誘導機構を明らかにすることを目的としている。本年度はメチル化誘導のターゲットとなる配列と、その配列に結合する因子の存在を確認するために、35Sプロモーター領域のde novoメチル化についての詳細な解析と、ゲルシフトアッセイ(EMSA)によるDNA結合因子の解析を行った。 その結果、リンドウ核抽出物において35Sプロモーターの-275から-250、および-149から-124の2種のプローブで、タバコ核抽出物を用いた場合と異なる顕著なバンドシフトが観察された。これら両領域は組換えリンドウにおいて確認されたde novo DNAメチル化が高頻度に生じた2つのピーク領域と一致し、また両結合領域には2種類のモチーフ(5'-GAAGA-3'およびSV40エンハンサー類似配列)が共に含まれていた。さらにEMSAの競合アッセイにより、リンドウには両領域に共通して結合する特異的な核因子が存在する可能性が示され、このような核因子とde novo DNAメチル化との関連性が示唆された。 本研究成果は、高等植物において配列特異的なDNAメチル化を引き起こすDNA結合因子が存在する可能性を示唆したもので、高等植物のエピジェネティックな発現制御機構を理解するうえで重要な知見であると思われる。現在、EMSAにより得られた結合領域をベイト配列に用いた酵母one-hybrid法により、リンドウに存在する核因子の特定を試みている。
|