2010 Fiscal Year Annual Research Report
植物性染色体を利用した重イオンビーム照射による染色体切断機構とLET効果の解析
Project/Area Number |
20780009
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
風間 裕介 独立行政法人理化学研究所, 生物照射チーム, 基礎科学特別研究員 (80442945)
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Keywords | 重イオンビーム / 雌雄異株植物 / ヒロハノマンテマ / LET / 突然変異 |
Research Abstract |
重イオンビームは高い線エネルギー付与(LET)をもち、飛跡に沿って高密度な電離作用を及しDNA二重差切断を高い確率で引き起こす。本課題では、重イオンビームが染色体レベルの突然変異に与える影響を調べるため、照射当代で迅速に変異選抜ができる植物Y染色体を用いた解析を行った。雌雄異株植物ヒロハノマンテマのY染色体には雌蕊(♀)の発達を抑制する領域(GSF)と雄蕊(♂)の発達を促進する領域(SPF)、葯の発達を促進する領域(MMF)がある。GSFを欠損すると雄蕊(♂)も雌蕊(♀)もつけない無性花変異体に、SPFを欠損すると雄蕊(♂)と雌蕊(♀)とをつける両性花変異体に、MMFを欠損すると葯が裂開しない変異体が出現する。本年度は、γ線、炭素イオンビーム、鉄イオンビーム照射による変異誘発を行った。(1)ヒロハノマンテマ花粉照射では、γ線では40Gy、炭素イオンビームでは20Gy、鉄イオンビームでは4Gyが変異選抜に最適であることを明らかにした。(2)計2,500個体をスクリーニングし、無性花変異体を8個体、両性花変異体を12個体単離した。(3)Y染色体欠失をFISHで検出するため、Y染色体の配列情報からFISHプローブを単離する目的で10個のY染色体由来のBACクローン(合計1Mb)の配列を決定した。しかし、それらの大部分が反復配列であり、FISHでは全染色体にシグナルが得られた。唯一、Y染色体上の遺伝子SlAP3Yの周辺領域がプローブ化でき、FISHにより遺伝子の位置をマップすることができた。(4)17種類のY染色体特異的STSマーカーを用いて変異体シリーズの欠失領域の大きさを比較した。その結果、重イオンビームは低LET線であるγ線よりも植物Y染色体では欠失サイズが小さい傾向がみられた。
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Research Products
(24 results)