2009 Fiscal Year Annual Research Report
節水と多収を高度に両立させるイネ畑栽培技術の開発と根系の役割に関する研究
Project/Area Number |
20780010
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 洋一郎 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (50463881)
|
Keywords | イネ / 節水栽培 / 根系 |
Research Abstract |
逼迫する水需要に対して、節水灌漑稲作技術の開発が世界中で進められている。特に、エアロビックライスと呼ばれる高生産性陸稲栽培システムでは、水資源の大幅な節約と多収穫の両立が期待できる。本研究では、国際稲研究所(フィリピン国)および東京大学でフィールド試験ならびにポット試験を行い、高生産性陸稲栽培システムに適した多収性品種・系統の探索とその生態生理的・遺伝的特性の解明を、特に根系発達に着目して行うことを目的とした。国際稲研究所では、ラインソーススプリンクラーシステムを用いて多段階の灌漑強度に対するイネ系統の生育を比較した。また、灌漑水田においても同じイネ系統を栽培し、収量ポテンシャルを評価した。これと並行して、温室においてイネ系統の根系生長量・根系分布の解析を行った。さらに、東京大学のフィールドにおいて一時的な土壌乾燥に対する、根系生長を含むイネ系統の生育応答を調査した。この結果、熱帯で広く栽培される灌漑水稲品種のIR64よりも収量ポテンシャルが高く、同時に、高生産性陸稲栽培システムへの適性の高い戻し交雑系統を選抜した。この系統は、供与親であるIR64よりも収量キャパシティと収穫指数が高いだけでなく、一時的な乾燥下でも旺盛に深根を発達させることによって高い脱水回避性を実現し、土壌乾燥下の収量維持に寄与していた。これらに関する原因遺伝子座は、第5染色体および第6染色体の別々のゲノム領域に座乗していることがグラフ遺伝子型から推察された。
|