2008 Fiscal Year Annual Research Report
ポジトロンイメージング技術を用いた果実への光合成産物蓄積機構の解明
Project/Area Number |
20780025
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
菊地 郁 National Agricultural Research Organization, 野菜茶業研究所・野菜ゲノム研究チーム, 主任研究員 (30360530)
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Keywords | 果実発達 / 光合成 / 転流 / ナス / ポジトロンイメージング |
Research Abstract |
ポジトロン放出トレーサーの二次元分布を非破壊かつ経時的に解析できるPETISを用い、ナス植物体の葉から果実へ^<11>C-光合成産物が移行する過程を果実の発達段階を変えて計測した。その結果、果実が急速に成長する開花後10〜25日の果実で計測可能な事を確認した。ナスは通常開花後3週間までに収穫を行う事から今後は果実発達に最も重要と考えられる開花後10〜20日の果実を用いて計測を行う事とした。次にポジトロンの位置情報を3次元で解析できるマイクロPETを用いて、ナスおよびトマト果実の計測を試みたところ、トマトの撮像に成功したがナスは計測できなかった。トマトの結果からマイクロPETによる植物体内の光合成産物計測が可能である事が確認できたため、計測器以外の要因が考えられる。今回の測定は医療研究機関で実施したため、計測前の植物体の維持環境が適当でなかったと推測された。そこで、計測前の光環境が果実への光合成産物移行に及ぼす影響をPETISにより測定した。ナス植物体を2日間暗黒条件で維持した後に光量300 μmol photon・m^<-2>・s^<-1>の光環境下に移し、葉から果実へ^<11>C-光合成産物が移行する様子を撮像した(暗条件)。撮像後の植物体はそのまま光環境下に2日間維持し、再び同様に撮像を行った(明条件)。それぞれ^<11>Cの葉への固定量、葉からの送り出し量および果実への移行量を解析したところ、固定量に条件による差は無かったものの、葉からの送り出し量は暗条件で明条件のおよそ10倍、果実への移行量はおよそ4倍低いことが示された。この事から、植物体は測定前に適切な光環境に維持する必要があると考えられた。また、明期の長さが果実への光合成産物移行に大きく影響する事、それは葉からの送り出し量に起因する事などが明らかになったが、果実発達と明期との関連については今後も更なる検討が必要と考えられる。
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Research Products
(4 results)