2009 Fiscal Year Annual Research Report
植物RNAウイルスのゲノム複製の正確性に関する研究
Project/Area Number |
20780029
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
鍵和田 聡 Hosei University, 生命科学部, 助教 (20431835)
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Keywords | 植物 / ウイルス / 複製 |
Research Abstract |
本年はいくつかの植物RNAウイルスを収集し、そのゲノム塩基配列を決定した。フキモザイク病の病原ウイルスの一種であるフキモザイクウイルスのゲノム塩基配列はpolyA tailを除き8662塩基であり、Carlavirus属ウイルスに特徴的な6つのORFがコードされていた。複製酵素および外被タンパク質がコードされるORFについて、他のCarlavirus属ウイルスのORFと比較解析を行ったところ、塩基配列でそれぞれ46.4-54.9%,43.2-62.1%,アミノ酸配列でそれぞれ38.6-46.6%,31.3-65%の相同性を示した。また、アミノ酸配列に基づく系統解析により、このウイルスは複製酵素ではcoleus vein necrosis virusと、外被タンパク質ではcarnation latent virusと最も近縁であることが示唆された。今回、Carlavirus属の暫定種であったフキモザイクウイルスのゲノム塩基配列を初めて明らかにし、Carlavirus属ウイルスであることが確認できた。 また、Carlavirus属に属し、多くの同属ウイルスと異なりアブラナ科植物を宿主とするダイコンひだ葉モザイクウイルスのカリフォルニア系統のゲノム塩基配列を決定した。先に塩基配列が決定されている日本系統と比較したところ、RNA1の塩基配列で94.1%,ORFのアミノ酸配列で98.7%、またRNA2の塩基配列で85.7%,ORFのアミノ酸配列で94.9%の相同性を示すことが明らかとなり、外被タンパク質や移行タンパク質の遺伝子を含むRNA2よりも複製酵素の遺伝子を含むRNA1の方が比較的相同性が高く、変異が蓄積しにくいことが示唆された。
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Research Products
(3 results)