2008 Fiscal Year Annual Research Report
Two-hybrid法によるBmMLVの分子応答機構の解明
Project/Area Number |
20780035
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
岩永 将司 Utsunomiya University, 農学部, 准教授 (40400717)
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Keywords | 感染性クローン / ウイルス / 遺伝子 / 持続感染 / 培養細胞 / タンパク質 / カイコ / 相互作用 |
Research Abstract |
Bombyx mori macula-like latent virus(BmMLV)は、2005年に研究代表者等がカイコ由来培養細胞へ共生していることを示したRNAウイルスである。本ウイルスは昆虫細胞へ持続感染しているものの、そのゲノム構造は植物ウイルスであるチモウイルスに極めて近く、その複製様式は、植物ウイルスの媒介昆虫における複製モデルとしても非常に興味深い。昨年度まで、代表者等は本ウイルスがあらゆるカイコ由来培養細胞へ持続感染していることを示し、また一方で本ウイルスが唯一慢性感染していないカイコ由来培養細胞(BmVF細胞)を生物研と共同で樹立し、本ウイルスの複製機構を明らかにするための研究基盤を築いてきた。 そこで本年度は酵母Two-hbrid法による本ウイルスの分子応答機構の解を進めた。その為に、本ウイルスが一般に変異性の極めて高い一本鎖RNAウイルスであること、また様々な変異導入実験が今後可能となることから、まず、本ウイルスの感染性クローンの構築を行った。まず、カイコ由来細胞で充分に機能することが明らかとなっているショウジョウバエビートショックプロモーターとSV40ターミネーターを備えたプラスミドDNAを調製し、次にBmMLVのcDNAを断片化して連結したBmMLVの完全長cDNAクローンであるpHMLVを構築した。そこで、構築したプラスミドDNAが感染性クローンとなるかどうか、昨年度樹立したBmVF細胞へ導入した結果、導入後72時間でBmMLVのcoat proteinタンパク質が検出され、更に導入後120時間では、感染性を有する新たなBmMLVウイルス粒子が放出されていることを明らかにし、pHMLVがBmMLVの感染性クローンとなることを示した。 この様に感染性クローンを構築したことによってなBmMLVのcDNA配列を同定することが出来た。そこで、本感染性クローンからBmMLVのreplicase、coat protein遺伝子に対して、BmN細胞のcDNAライブラリーを用いた酵母のTwo-hybrid法によるスクリーニングを行った。現在の所、これらBmMLVの遺伝子産物に相互作用する可能性があるいくつかの宿主クローンが得られており、次年度はこれらを更に検証しBmMLVの複製機構を解明していく予定である。
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