2008 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫外骨格に存在するラッカーゼ前駆体の性状解析及び活性化因子の同定
Project/Area Number |
20780036
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
朝野 維起 Tokyo Metropolitan University, 理工学研究科, 助教 (40347266)
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Keywords | 昆虫外骨格 / ラッカーゼ / 前駆体 / 活性化系 / 蚕 / ショウジョウバエ |
Research Abstract |
本研究は、昆虫が生命活動を維持する為に欠かせない身体的構造である外骨格の形成に関するものである。これまでに、ラッカーゼと呼ばれる酵素が脱皮に伴う外骨格の硬化に関わっている可能性について調べてきた。また、ラッカーゼは、1)不活性な前駆体として脱皮前の新規外骨格に蓄積し、2)脱皮後何らかの因子によって活性化されることを示す結果も得られていた。本年度の目標として、イ)家蚕表皮中に存在するラッカーゼ前駆体の精製及びその生化学的性状の解析、また、ロ)ラッカーゼ前駆体を活性化する因子の同定、が予定されていた。まず、ラッカーゼ前駆体の性状についてこれまでにはえられていた事として、昆虫外骨格のラッカーゼ特有に存在するアミノ末端領域が、ラッカーゼ活性の制御に働くのではないかという仮説があった。しかし、家蚕外骨格からの精製標品およびバキュロウイルスを用いて合成した組み換えタンパク質を詳細に解析した結果、a)アミノ末端領域は活性制御には関与せず、b)触媒ドメインに生じている何らかの化学的修飾がラッカーゼ活性の有無に影響している事を示唆する結果が得られた。この事は、今までに調べられてきた植物やカビ等のラッカーゼに関して得られている膨大な研究でも報告されていない新知見である。この修飾を明らかにする事で、生体内分子の新たな制御機構が見つかる可能性がある。活性化因子については、前駆体試料を活性型酵素へと変換させる活性を家蚕外骨格中に検出した。現在までに、その因子を効率よく抽出する方法や、どの発生ステージに於いてこの活性が強いのか等を調べた。今後、大量の試料を調製し、単離を試みる予定である。ショウジョウバエを用いた表現形解析も進めている。既に外骨格形成過程に於いてラッカーゼが、大変重要な働きをしている事を示す結果が得られた。
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Research Products
(5 results)