2009 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝的に飛翔能力を欠くナミテントウ系統の品質維持管理法の開発
Project/Area Number |
20780038
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
世古 智一 National Agricultural Research Organization, 近畿中国四国農業研究センター総合的害虫管理研究チーム・特命チーム員, 研究員 (00360446)
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Keywords | 人為選抜 / ナミテントウ / 生物的防除 / 飛翔能力 / 品質管理 / 近親交配 |
Research Abstract |
飛翔能力を欠くナミテントウ系統(飛ばないナミテントウ)は、農業害虫アブラムシ類に対し高い防除効果が期待される。しかし、飛ばないナミテントウは育種の過程で近親交配がかなり進行しており、近交弱勢による幼虫期の生存率の低下や成虫期の産卵数の減少、すなわち天敵の品質の低下が問題になる。そこで、人為選抜がナミテントウの品質に及ぼす影響を明らかにし、品質を高い状態で維持するための管理手法を開発する。20年度の調査において、飛翔能力に対する選抜はナミテントウにおける生存および繁殖に負の影響をもたらすことが明らかになった。そこで系統内の遺伝的変異を回復させるため、戻し交配法を取り入れた品質管理手法の有効性を検証した。はじめに野外から採集したナミテントウの次世代個体(野外系統)と飛ばないナミテントウ系統(純系系統)を交配し、F1世代の幼虫を作出した。F1世代の成虫にも純系系統を戻し交配させ、F2世代を得た(戻し交配系統)。F1世代の成虫の飛翔能力は、野外系統のものと同様に高くなったが、F2世代では約半数の個体が飛翔不能化していた。飛翔不能の個体を選抜しF3世代の成虫の飛翔能力を測定したところ、ほぼ全ての個体が飛翔不能化していた。戻し交配系統(F6世代時点)の生存率及び産卵数を測定し、野外系統や純系系統と比較した。その結果、戻し交配系統の生存率や産卵数は野外系統のものと同様の値を示し、純系系統よりも高くなった。したがって、戻し交配法を取り入れた飛ばないナミテントウ系統の品質管理技術は有効であることが示唆された。
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Research Products
(3 results)