2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20780041
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
鈴木 雅京 The Institute of Physical and Chemical Research, 松本分子昆虫学研究室, 専任研究員 (30360572)
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Keywords | カイコ / 性決定 / 性決定遺伝子 / doublesex / Bmdsx / BmPSI / KHドメイン / 選択的スプライシング |
Research Abstract |
本研究の目的は、蛾類昆虫の性決定機構を明らかにし、蛾類昆虫の性決定遺伝子を標的とした害虫防除法を開発することにある。このため本研究では、カイコの性決定遺伝子であるBmdsxの性特異的スプライシング制御因子の同定を目指したいくつかの実験計画を立てている。昨年度は、Bmdsxのオス型のスプライシングに必須のシスエレメントであるCE1に結合する因子として新たに同定されたMSP55について報告した。MSP55をコードする遺伝子はZ染色体に座乗しており、様々な組織においてオス特異的に発現する。また、MSP55はBmdsxの性特異的スプライシング制御因子の1つであるBmPSIと相互作用する。本年度は、MSP55の欠失変異型タンパク質を用いたGST-pull dowm解析により、MSP55とBmPSIの相互作用にはMSP55のもつ4つのKHドメインが重要であることをまず明らかにすることが出来た。その後、この相互作用の機能的な意味を明らかにするため、CE1 RNAをプローブに用いたRNAゲルシフトアッセイを行った。その結果、MSP55はBmPSIのCE1 RNAに対する結合活性を増加させることが明らかとなった。また、KHドメインを欠いた変異型MSP55を供試した場合はBmPSI・CE1 RNA結合活性の増加がみられなくなることもわかった。 BmPSI・CE1 RNA解離試験を行った結果、MSP55非存在下では反応開始後1分以内に大半のBmPSIがRNAから解離してしまうが、MSP55存在下では反応開始後10分を経過した時点でも60%を越えるBmPSIがRNAに結合した状態にあることが確認された。以上の結果から、オス特有の因子であるMSP55がBmPSIとCE1の結合を安定化し、Bmdsxのオス型のスプライシングを促進していると考えられる。
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Research Products
(3 results)