2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20780042
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
安佛 尚志 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 研究グループ付 (30392583)
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Keywords | 共生細菌 / 生殖操作 / スピロプラズマ / ショウジョウバエ / ファージ / P58遺伝子ファミリー / 免疫機構 / 抗菌タンパク質 |
Research Abstract |
ショウジョウバエと、その共生細菌で「雄殺し」という生殖操作をおこなうスピロプラズマからなる共生系をモデル実験系とし、スピロプラズマのファージの共生関連遺伝子とその機能や、宿主側の免疫系遺伝子の発現と共生との関連について明らかにすることを目的に研究を遂行した。 3系統のスピロプラズマ(Drosophila nebulosa由来の雄殺しスピロプラズマNSRO系統、NSRO系統の突然変異体で雄を殺さないNSRO-A系統、キイロショウジョウバエD.melanogaster由来の雄殺しスピロプラズマMSRO系統)のファージ(それぞれspv1,spv1-A,spv1-Mとする)のゲノム解析を進めた。各々14倍以上の冗長度でショットガンシーケンスをおこなった結果、spv1では予想される全長にほぼ等しい22,028bpの結合配列を得た。相同性検索により、少なくとも11個のSpiroplasma citri(およびそのファージ)や雄殺しスピロプラズマの既知の遺伝子と高い相同性を示す配列が見つかった。興味深いことに、その中にはS.citriにおいて昆虫との相互作用に関わっているP58遺伝子ファミリー(P58,12,18,54,123)が含まれており、スピロプラズマ-ショウジョウバエ共生系において、ファージが宿主との相互作用に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。その他には、スピロプラズマのファージの組換えタンパク質(recT)遺伝子、機能未知の遺伝子が含まれた。spv1-Aおよびspv1-Mについても、推定される全長をカバーする複数の結合配列が得られ、高い相同性を示した既知遺伝子のレパートリーはspv1とほぼ一致していた。 また、宿主昆虫の免疫機構とスピロプラズマ感染に関する研究成果をまとめて論文発表をおこない、本共生系の成立要因について議論した。
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