2009 Fiscal Year Annual Research Report
サラワク州における異なる開発年次の油ヤシ・プランテーションのLCA評価
Project/Area Number |
20780048
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
木村 園子ドロテア Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・共生科学技術研究院, 准教授 (60397015)
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Keywords | 油ヤシ / 熱帯泥炭土壌 / ライフサイクルアセスメント / 炭素収支 / 有機物分解 / 地下水位 / 土壌粒子 |
Research Abstract |
本研究の対象地は、マレーシア・サラワク州のシブ近郊のオイルパーム・プランテーションである。対象地は約1000haで、2000年より開拓がはじまり、最も新しく2008年に新たに天然林がプランテーションとして開拓されている。本対象域内に開発年次が2000、2001および2003/4年に開発された区画それぞれに4ヶ所ずつ計12か所の地下水井戸を2008年8月に設置した。また主な排水路2か所について降雨時自動採水器を設置した。これらの地点で2008年10月より1ヶ月に1度の地下水、灌漑水の採取と流出量の測定を開始した。上記の区画内では、生育調査、施肥管理体系を調べ、オイルパームのライフサイクルを把握するための調査を行った。また森林、開発1年目、7年目の土壌を培養することによって、開発年次の違いが温室効果ガスの放出量に及ぼす影響を解析した。 地下水のモニタリングの結果、開発年次2001および2003/4年のもの方が、2000年開発のものよりも全炭素・全窒素濃度が高く、特に2001年が高い値を示した。開発の新しいもの方が土壌有機物の分解が高く、またオイルパームの吸収量が低かったものと考えられた。季節変動では、雨季の影響が強く見られ、雨期の前半に上昇し、雨期の後半に低下するという傾向が見られた。 灌漑水の季節変化も地下水のそれに類似しており、雨季における全窒素および全炭素濃度は乾季よりも高い値を示した。地下水に由来する流出に加え、地表の表面流去の寄与が大きいと考えられた。土壌中のイオン濃度は森林で最も高く、開発年次が古いものほど減少する傾向が見られたが、温室効果ガスの放出量には大きな違いは認められなかった。 以上の結果により、オイルパームは、開発年次が古くなるほど積算イオン流出量が大きくなるが、生産物あたりの年間の流出量ならびに温室効果ガス放出量は減少することが示された。
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Research Products
(3 results)