2009 Fiscal Year Annual Research Report
新奇メタン生成共生系の『第二の種間伝達物質』の可能性
Project/Area Number |
20780052
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
中村 浩平 Gifu University, 応用生物科学部, 助教 (40456538)
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Keywords | メタン生成アーキア / 共生菌 / 水素発生型有機物分解菌 / 微生物間相互作用 / 種間伝達物質 |
Research Abstract |
昨年度の研究から、RMAS株の純粋培養に成功した。RMAS株は、PB株からアミノ酸様の物質を受取り生育することが示唆された。RMAS株の詳細な生理生化学性状を検討した。RMAS株は、生育至適温度(範囲)65℃(45~80℃)、生育至適pH(範囲)6.9~7.7(6.9~7.7)、生育至適塩濃度(範囲)0.25%(0.001~2%)であり、低塩濃度の中性付近に生育至適を持つ好熱性のメタン生成アーキアであった。栄養源はH_2-CO_2であり、その他のメタン生成基質(ギ酸、酢酸、メタノール等)を利用しなかった。更に増殖因子として、酵母エキス、トリプトン、またはビタミン類を必要とした。共生菌(PB株)からアミノ酸またはビタミンが供給されていることを強く支持した。その細胞は、超薄切片電子顕微鏡像からおよそ30nmの厚い細胞壁をもち、近縁のMethanothermus属のものに類似していた。細胞壁のアミノ酸組成からシュードムレインを有していると考えられたが、シュードムレイン分解酵素に耐性であった。また、分子系統的解析からMethanothermobacter属(16S rDNA)、Methanobacterium属(McrA)に近縁であり、遺伝子またはアミノ酸配列によって近縁種が異なることが明らかとなった。これらの結果からRMAS株はMethanobacteriaceae科の異なる3属のメタン生成アーキアの性状をモザイク状に有しており、これを新属新種のメタン生成アーキアとして提唱する。
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