2008 Fiscal Year Annual Research Report
乳酸菌由来抗菌ペプチドの特異的作用機構における分子基盤の解明
Project/Area Number |
20780055
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
善藤 威史 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 助教 (50380556)
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Keywords | 乳酸菌 / 抗菌ペプチド / バクテリオシン |
Research Abstract |
乳酸菌が生産する抗菌ペプチド、バクテリオシンは、新しい抗菌物質としてさまざまな分野での応用が期待されている。これまでに多様な乳酸菌バクテリオシンが見出され、その抗菌スペクトルや抗菌活性の強さも多様である。他の生物種由来の抗菌ペプチドと比べてとくに注目すべき点は、きわめて低濃度で活性を示すこと、一部のものでは菌種特異的な活性を有することである。しかし、その作用機構には未だ不明な点が多く、バクテリオシンの種類によっても異なることが予想されている。作用機構の解明によって、分子基盤に基づいた乳酸菌バクテリオシンの効果的な利用方法の確立が期待される。初年度は、特徴的な性質をもつバクテリオシンの構造解析を行うとともに、構造が決定されたバクテリオシンについて、感受性細菌および人工細胞を用いてその作用を検討した。 Lactococcus QU 12が生産するバクテリオシンの精製および構造解析を行った。種々のクロマトグラフィーを用いて本バクテリオシンを精製し、質量分析やアミノ酸配列解析等によって構造を解析した。その結果、N末端とC末端が結合した新奇の環状ペプチドであることが明らかとなり、本バクテリオシンをラクトサイクリシンQと命名した。ラクトサイクリシンQをコードする遺伝子の塩基配列も明らかとなった。 Lactococcus lactis QU 5が生産するバクテリオシン、ラクティシンQの作用機構を種々の微生物およびリポソームを用いて解析した。その結果、ラクトサイクリシンQは特定のレセプターを介さずに細菌細胞膜に孔を形成し、細胞内物質を流出させることが明らかとなった。また、その孔形成機構は、トロイダルポアと呼ばれるモデルの特徴によく一致していた。
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