2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規な酵素機能から解明するビフィズス菌とヒトとの共生関係およびその応用への展開
Project/Area Number |
20780056
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Research Institution | Ishikawa Prefectural University |
Principal Investigator |
片山 高嶺 Ishikawa Prefectural University, 生物資源環境学部, 准教授 (70346104)
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Keywords | ビフィズス菌 / ヒトミルクオリゴ糖 / ムチン型糖鎖 / フコシダーゼ / フコシルオリゴ糖 / グリコシンターゼ / エンド-α-N-アセチルガラクトサミニダーゼ |
Research Abstract |
本研究は、ビフィズス菌の新規な糖代謝経路から「ビフィズス菌とヒトとの共生関係」を理解し、また、その経路上にある酵素を利用した精密オリゴ糖合成技術の開発を目指すものである。平成21年度における成果は以下の通りである。 1, ビフィズス菌は、ヒトの母乳に含まれるオリゴ糖(ヒトミルクオリゴ糖)を特異的に分解する酵素を有している。これらの酵素群(1,3/4-α-L-フコシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、β-N-アセチルグルコサミニダーゼ)の遺伝子解析および機能解析を行った。 2, ビフィズス菌由来のムチン型糖鎖に特異的に作用する酵素エンド-α-N-アセチルガラクトサミニダーゼを単離し、X線結晶構造解析を行った。 3, ヒトミルクオリゴ糖の主成分であり、病原菌の感染阻止能を有するオリゴ糖2-フコシルラクトースを、ビフィズス菌由来の1,2-α-L-フコシダーゼを改変することで合成可能とした。 4, ヒトの血液型抗原決定基であるルイス糖を、ビフィズス菌由来の1,3/4-α-L-フコシダーゼを改変することで合成可能とした。 以上、ビフィズス菌が有する特異な糖代謝経路上の酵素のほぼ全容を明らかにすることが出来た。ビフィズス菌は、ヒト自身が分泌発現する糖鎖構造(ヒトミルクオリゴ糖やムチン型糖鎖)に作用し、これらを栄養源として腸管内で生息していることが考えられる。また、単離した酵素を改変することで、ミルクオリゴ糖の合成に成功した。大量生産が可能となれば、粉ミルクへの添加が期待できる。
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