2009 Fiscal Year Annual Research Report
糸状菌(ヘミ)セルラーゼ遺伝子発現制御因子の同定と機能解析
Project/Area Number |
20780058
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
谷 修治 Osaka Prefecture University, 生命環境科学研究科, 助教 (80405357)
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Keywords | Aspergillus aculeatus / Agrobacterium tumefaciens / Transformation / Gene tagging / TAIL-PCR / Insertional mutagenesis / Cellulase / Gene regulation |
Research Abstract |
我々は、糸状菌Aspergillus aculeatusが分泌する糖化力に優れたセルラーゼ・ヘミセルラーゼをセルロース性バイオマスの酵素糖化に利活用するために、本菌を宿主として(ヘミ)セルラーゼを大量に生産する系を構築する事を目指している。本課題ではその一段階として、本菌における(ヘミ)セルラーゼ遺伝子群の発現制御機構を解明する事を計画した。これまでに、アグロバクテリウム形質転換(AMT)法を用いて網羅的にA.aculeatusの遺伝子破壊株を作出する条件を決定している。そこで平成21年度は、決定した条件のもと、AMT法を用いて本菌を形質転換後、(ヘミ)セルラーゼ遺伝子発現制御に関わる因子が欠損した場合にのみ形質転換体が生育可能となるような選択条件を決定し、目的の制御因子欠損株の単離を目指した。これまでに、約1万5千株のA.aculeatus形質転換体をスクリーニングし、セルラーゼ遺伝子発現制御因子破壊株の候補として40株を単離した。現在は、順次破壊遺伝子を遺伝子タギング法を用いて同定している段階ではある。これまでの解析で、同一の遺伝子が破壊された株が2株単離されたことから、この遺伝子がセルラーゼ遺伝子発現制御に関与していることが示唆された。そこで、宿主と遺伝子破壊株におけるセロビオヒドロラーゼI遺伝子(cbhI)の発現量をリアルタイムPCR法を用いて解析した結果、cbhI発現は候補株において宿主の約1/5に低下しており、同定した遺伝子がセルラーゼ遺伝子発現制御に関与していることが強く示唆された。今後、この遺伝子の機能解析を詳細に行うとともに、他の候補株の変異点を同定して解析を行うことにより、より多くの(ヘミ)セルラーゼ遺伝子発現制御因子を同定する計画である。 糸状菌は、産業上有用な種々の酵素を生産する能力を有しているが、その生産メカニズムは未だ未解明な部分が多い。本研究は、それらのメカニズムを分子レベルで解明する事にも応用可能な成果である。
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Research Products
(4 results)