2008 Fiscal Year Annual Research Report
ロドコッカス・エリスロポリスが生産する抗菌活性物質とその遺伝子の解析
Project/Area Number |
20780067
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
北川 航 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, ゲノムファクトリー研究部門, 研究員 (60415669)
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Keywords | 応用微生物 / 抗生物質 / Rhodococcus |
Research Abstract |
菌株保存機関から80株以上のロドコッカス(Rhodococcus)属細菌を収集し、系統的に多様な試験菌20株に対しそれぞれの抗菌活性を調べた。その結果多種多様な抗菌活性を示すRhodococcus属細菌の存在が明らかになった。その数は30株以上にのぼり、全体の40%程度と高い割合であった。この結果からRhodococcus属に多様な抗菌物質生産菌が存在することが改めて確認され、本属細菌が新規抗生物質とその合成系遺伝子の資源として非常に有望である事を示した。これまでにロドコッカス・エリスロポリス(R.erythropolis)には抗菌活性の異なる3つのグループが存在することを確認しており、これらのグループをそれぞれGroup I, II, IIIとしてそれぞれの研究を進めた。まずこれらの計15株について16S rRNA遺伝子配列を調べたところ、全株同一の配列を持つことが明らかになった。これらはグループ間でも抗菌活性を示すが、この結果から全く異なる抗菌活性を有しているこれらの3グループが確かに非常に近縁な同一種であり、激しい種内競争が起こっていることが確認された。次にGroup Iの抗菌活性株からの抗菌物質の取得を行った。活性菌を液体培養し、培養上清を濃縮、HPLC分析を行った。その結果254nmのモニター波長において抗菌活性を示す1つのピークが得られたため、このフラクションを回収して再精製し、精密質量分析及びNMR解析を行った。その結果キノリン骨格を有する新規化合物であることを確認した。精製したこの新規化合物が生産株(Group Iの抗菌活性株)と同様の抗菌活性(抗菌スペクトル)を持つことから、新規抗生物質であると確認した。これは非ペプチドとしてはRhodococcus属からの初の抗生物質の発見例である。さらにこのGroup Iの新規抗生物質の生合成遺伝子を取得するため、ランダムトランスポゾン法を用いて抗菌活性を失った変異株の取得を試みた。現時までに目的の変異株を複数取得し、その詳細な遺伝子解析を行っている。
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