2009 Fiscal Year Annual Research Report
ロドコッカス・エリスロポリスが生産する抗菌活性物質とその遺伝子の解析
Project/Area Number |
20780067
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
北川 航 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, ゲノムファクトリー研究部門, 研究員 (60415669)
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Keywords | Rhodococcus / antibiotics / diversity |
Research Abstract |
ロドコッカス属細菌はこれまで抗生物質生産菌としてはほとんど知られていなかったが、本研究により多様な抗生物質を生産する多数の生産株が存在することを明らかにした。中でも強力な抗菌活性を示したRhodococcus erythropolis JCM 6824株の液体培養物の上清から、非常に抗菌活性の高い(最小生育阻止濃度(MIC)の低い)新規の抗生物質を単離し、その構造を決定した(論文発表済み)。さらに別の抗生物質を生産するロドコッカス属株からもその培養上清から新規の抗生物質を単離し、同様に構造を決定した(未発表データ)。さらにこれらの抗生物質の生合成遺伝子の単離をトランスポゾン変異導入法により試みそれぞれ成功した(未発表データ)。これらの生合成遺伝子の局在性について調べるため、パルスフィールド電気泳動法で分離したゲノムDNAについて当該遺伝子をプローブにサザン解析を行った結果、前者は染色体上に、後者は線上プラスミド上に存在していることが明らかになった。この2株に加え、さらに他の抗菌活性を持つロドコッカス属細菌を加えた計15株について16S rRNAやgyrB遺伝子、さらにリボソームタンパクの質量分析を用いた手法を用いて、これら株の系統関係を調べた。この結果これら株は進化的に非常に近縁な株同士であるものの、抗生物質生産などの機能の点では非常に高い多様性を持つ集団であることが初めて明らかになった。これらの結果からロドコッカス属細菌は非常に高い抗生物質生産能を有しており、新規抗生物質とその生合成遺伝子の資源として非常に有望であると結論した。
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