2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20780072
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 哲弘 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (40323480)
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Keywords | 微生物 / マイクロアレイ / 発現制御 / tRNA |
Research Abstract |
1.tRNA依存的生育停止に関与する遺伝子の同定 昨年度までに、D-CRDのtRNA切断による細胞周期停止に対して、これを抑制する遺伝子をスクリーニングし、tRNA^<Arg>遺伝子、TPT1, SAN1を得た。今年度は、Sanlp, Tptlpに関して抑制機構の解析を行った。Sanlpは核内異常タンパク質をユビキチン化することから、tRNAの切断が核内異常タンパク質を蓄積させ、生育停止を誘導する可能性を期待した。しかし、Sanlp高発現株においてD-CRDの安定性が低下することから、D-CRDがSanlpにより直接ユビキチン化されたことが原因であると判断した。Tptlpは、tRNAスプライシングに関与する因子であり、Trllpと共にスプライシングされたtRNA末端を連結する。そこで、D-CRD発現株に対してTptlpに加えて更にTrllpを同時に高発現させたところ、生育停止の抑制度が上昇した。これより、D-CRDにより切断されたtRNAが、tRNAスプライシング機構を介して修復されることが考えられた。しかし、いずれにしても、これらは全てtRNA切断自体を避ける現象であり、目的としていた生育停止機構の解明には至らなかった。 2.Rnylpのストレス応答性tRNA切断の意義の解明 本研究の進行中に、出芽酵母において、ストレスに応答してtRNAを切断する原因因子がRNase T2ファミリーに属するRnylpであり、結果的に細胞周期停止を誘導することが明らかにされた。これは、まさにtRNA動態に依存した細胞周期制御の一例であると考えた。そこで、この分子機構の解明を目的とし、Rnylp過剰発現により発現変動する遺伝子を、DNAマイクロアレイを用いて網羅的にスクリーニングし、解析を行っている。
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