2010 Fiscal Year Annual Research Report
“環境的要因”;が関わる低温活性金属酵素の低温適応機構の解明とその応用
Project/Area Number |
20780074
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
鶴田 宏樹 神戸大学, 連携創造本部, 准教授 (20346282)
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Keywords | 低温活性金属酵素 / 好冷性細菌 / 低温適応 / X線結晶構造解析 / 触媒反応効率 / フォスファターゼ |
Research Abstract |
好冷菌産生酵素の低温での高い活性の発現能(低温活性発現能)にとって、触媒部位に位置する求核基が、低温から常温における触媒反応時に効率よく基質分子に作用することが重要である。多くの加水分解酵素では、求核攻撃を担う求核基は補因子である金属イオンにより脱プロトン化されたOH^-分子であり、基質に対する求核攻撃に適した空間に配置されている。その適切な空間配置は金属イオンの種類に支配されると考えられ、その金属を配位させる機構が低温活性発現能を導く"環境的要因"であると考えられる。本研究では、好冷菌Shewanella sp.が産生し、触媒部位中に2個の金属を配位しているCold-active phosphataseに着目した。平成22年度には、(1)EDTA処理によって低温での効率良い活性発現能が低下した酵素(EDTA処理Mg酵素)の立体構造をMg型酵素の構造と構造を比較すること、(2)Shewanella sp.における金属濃度環境を制御する因子(金属輸送蛋白質など)の探索を試みた。(1)については、EDTA処理Mg酵素の構造を分解能1.3Åで決定した。決定した構造とMg型酵素の構造との比較解析を行うことで、金属置換によって柔軟性が変動した領域が分子表面から触媒部位近傍構造までつながっている領域が、低温において低下した溶媒の分子運動を効率よく触媒部位に伝達させることで低温活性発現を可能とすることを強く示唆することができた。(2)に関しては、前年度に2次元電気泳動法で明らかとした、培地中の2価イオンの濃度上昇によって特異的に含有量が増加する2種の塩基性蛋白質(約20kD)が、それぞれリボソーマルプロテインL10、L11であることを明らかとした。今後、低温活性発現能を有する有用酵素の創出させるためのシステム開発には、これらの2種の蛋白質が低温活性発現能を導くフォールディングに与える影響を調べることが重要である。
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