2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20780075
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
有馬 二朗 Tottori University, 農学部, 講師 (80393411)
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Keywords | D-アミノペプチダーゼ / アミノリシス / ペプチド合成 / 活性中心セリン残基 / 基質特異性 |
Research Abstract |
ペプチドには単体のアミノ酸には無い優れた機能を有し、中でもD-アミノ酸を含有するペプチド(D-ペプチド)の特異な生理活性も徐々に明らかとなりつつある。本研究では、その効率的なD-ペプチド合成法の確立を目指し、D-アミノペプチダーゼを対象に、高機能型D-ペプチド合成酵素を創製する。既に、単離している2種のD-アミノペプチダーゼ生産菌から、各酵素を精製し、N末端配列及び内部配列を決定した。その結果、一つは金属を活性中心に持つD-アミド加水分解酵素、もう一つは活性中心にセリン残基を持つD-アミノペプチダーゼに属することが明らかとなった。アミノ酸配列の情報を元に、各酵素遺伝子の全長をクローニングし、大腸菌による発現系の構築を行った結果、大量の組み換えタンパクの取得に成功した。そこで、様々な生化学的性質について検討した結果、金属型D-アミド加水分解酵素はアミノ酸誘導体の加水分解活性が非常に高く、ペプチド分解活性は低いことが明らかとなった。また、活性中心の金属を置換すると、ドラスティックな基質特異性の変化が見られた。しかし、本酵素は逆反応やアミノリシス反応の機能を有しておらず、ペプチド合成能を示すことはなかった(Arima, et.al. Biochimie, 91, 568-576, 2009)。一方、活性中心にセリン残基を持つD-アミノペプチダーゼは、疎水アミノ酸誘導体に対して優先的に加水分解活性を示し、アルコールを反応系に加えることで、アミノリシスによるペプチド合成活性を示した。今後は、このセリン型D-アミノペプチダーゼを対象に、様々なペプチドを対象とした合成活性を検証するとともに、基質特異性を広げるべく、タンパク質工学的手法を駆使して、酵素機能の改変を行っていく予定である。
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Research Products
(1 results)